弁理士の職場・企業vs特許事務所

今回は、弁理士または弁理士志望者にとって、究極のテーマである、就職先として、企業と特許事務所のどちらかがいいか、について高岡弁理士にお話を伺いました。

企業と事務所、どっちがいいのか

インタビューアー(以下、「Q」):弁理士(または弁理士志望者)の方にとって、企業と特許事務所のどちらで働くべきか迷っている方に、特許事務所の良さを教えてもらえますか?
A:特許事務所は、いうまでもなく、知的財産(以下、知財)だけが仕事ですから、知財一本でずっとキャリアを積んでいくことができるということが最大のポイントです。異動はありませんので、知財でのキャリアが途切れることが全くないです。
Q:それでは企業の良さはどんなところにありますか?
A:それは、発明発掘から、権利化、権利化後の活用、ライセンス契約、そして企業戦略を含めて、幅広い業務が経験できるということでしょう。これに対して、特許事務所では、権利化の仕事がほとんどです。ですので、企業にいれば、特許事務所よりずっと広い視点で知的財産の仕事をすることができると思います。
Q:企業へ行ってそれから特許事務所というルート、あるいはその逆のルートはありですか?
A:もちろん、どちらのルートも大ありです。弊所にも、企業の元知財部の弁理士が何人かいます。両方を経験するというのも、普通だと思います。

転勤、テレワーク、子育て、定年、スキルアップ・・・

Q:そのほかに特許事務所の良さはありますか?
A:5つあると思います。転勤、テレワーク、子育て、定年、スキルアップというところです。まず、まず転勤の問題について申し上げますと、特許事務所ではたいていの場合、オフィスが1か所ですので、転勤がありません。最近は共働き夫婦も多いですし、子供の教育環境や親の介護の問題もあったりもしますが、特許事務所では転勤がないので、住む場所を含め、安定した暮らしをすることができます。例えば、お子さんを中学受験させるときでも、転勤がないので安心してお子さんをサポートしてあげることができます。
Q:テレワークはどうですか?
A:一般論ですが、特許事務所では、人材を獲得するために、大胆にテレワークを認めて、働きやすさを優先しているところが多いように思います。国や地方自治体も補助金などを出して、テレワークを推進することを推奨しています。知財の仕事は、とてもテレワークとの相性がいいです。具体的には、発明者との打合せはコロナ以降オンライン会議が格段に増えていますし 、連絡もメール等行えますし、出願も電子出願形式ですので、テレワークでもなんの支障もありません。
Q:子育てはどうですか?
A:特許事務所は、思い切った子育て支援をすることができるということがあります。女性が産休や育休から戻ったときでも、確実に知財の仕事に戻れます。特許事務所は知財の業務しかないわけですから。それと、弊所では、産休や育休はもちろんのこと、ここでは詳しく説明しませんが、子育てママパパさんのために思い切った柔軟な対応、例えばテレワークの拡大など、をしています。また、特許事務所は自分の抱えている案件を自分のペースでこなしていくというやり方をしている事務所が多いと思いますので、男性も女性もお子さんの健診や行事等に合わせて休みが取得しやすいという面はあると思います。
Q:定年についてはどうですか。
A:特許事務所では、一般的な定年である60歳を超えても働けるところが多いと思います。弊所では、60歳を超えても元気に働いておられる方が何人もおります。気になる方は、定年後の雇用について、面接などで聞いたほうがいいと思います。
Q:スキルアップについてもう少し詳しく教えてください。
A:特許事務所では、弁理士として、狭く深くスキルをしっかり磨くことができます。狭く深く、ということの意味は、できないことも多いかもしれませんが、ある狭い範囲のことだけは圧倒的に詳しいということを意味しています。そういう意味でのスペシャリストを目指すことができます。

特許事務所の良くないところ・・・

Q:特許事務所で、良くないところはありますか?
A:大企業に比べれば、経営の安定感が欠ける、福利厚生が劣ることがある、ということだと思います。特許事務所はいわば個人事業が大きくなったようなもので、どうしても、大企業と比べると安定感や福利厚生で劣る面があることは否定できません。ですので、常に自分のスキルをしっかり磨いておくことが大事になってきます。確固たるスキルさえあれば、何があっても、生活していくことができます。

高岡IP特許事務所 のPR

Q:高岡IP特許事務所の特徴を何かアピールしてもらえますか?
A:弊所は創業16年目にあたり、所員数はだいたい100名近くです。弊所の良さとして、まとめると
・1つ目に、ステップアップしやすいこと、
・2つ目に、国内・内外・外内の垣根がないこと、
・3つ目に、池袋というロケーション
があると思います。
Q:それぞれの特徴について具体的にご説明をお願いします。
A;1つ目の「ステップアップしやすい」というのは、弊所は比較的新しい特許事務所ですので、パートナーが少なく、若い人でも意欲があれば、チャンスがあるということです。新しいクライアントを任されたり、リーダーを任されたり、海外代理人と交流したり、海外出張に行けたり、そういうチャンスがあります。ポジションがあちこちに空いている状況です。ぜひ、将来キャリアアップを目指す若者や、あるいはある程度経験を積んでもうワンラックアップしたい弁理士の方に、来てほしいです。
Q:2つ目についても教えてください。
A:2つ目の「国内・内外・外内の垣根がないこと」とは、弊所では、国内、内外、外内の三つの業務に関して、実務者の部署を厳密に分けていませんので、この3つの業務を全部挑戦できるということです。具体的には、国内の明細書を書いて、その内外出願をやり、閑散期に外内の仕事をやるというような、いわゆる「三刀流」も可能です。ですので、例えば長年にわたり国内の明細書の経験を積んできて、心機一転、外内の仕事もチャンレジしてみたい、というのもOKです。
Q;池袋のロケーションの何がいいんですか?
A:弊所のオフィスは、池袋にあります。特に、東京の北西方面にお住いの方々には通勤し易いと思います。弊所ではテレワークを導入していますが、いざオフィスに行くときにはやはりアクセスがいい方がいいですよね。

事務所は給料が安いし辛い・・・本当?

Q:ところで、ネットなどで「事務所は給料が安いし辛い」という情報が出回っているらしいのですが、どう思われますか?
A:最初に、給料が安いかどうかですが、特許事務所は成果主義の面がありますので、力が発揮できれば高くなります。一方、力がうまく発揮できなければ、低くなってしまうこともあるかもしれません。特に、クライアントの技術分野と、自分の専門の技術分野がミスマッチした場合などは、力をうまく発揮できず、成果が出にくくなってしまうかもしれません。事務所側の話をよく聞いて、そのようなミスマッチが起こらないようにしたいですね。
Q:なるほど。辛い、という点についてはどうですか?
A:辛いというのが、仕事が多すぎる、という意味だと思いますので、特許事務所側の管理の問題ではないでしょうか。その人が処理できる適正な量の仕事が配分されていないということだと思います。個人の仕事の量を管理している特許事務所であれば、そのようなことは起こりにくいと思います。
Q:高岡IPの仕事量の管理の方法はどうなっているのでしょうか?
A:個々の実務者に割り当てられた案件を、独自の管理システムでタスクとしてリアルタイムに管理しています。各パートナーは、各実務者の手持ちのタスク量を把握しながら、案件を配分していますので、特定の人への負担集中を事前に避けることができます。また、経営企画室が全体のタスク量も監視していますので、タスク量が事務所全体の処理能力を超えないように、必要があれば速やかに対策をとっています。
Q:高岡IPでは、現在、弁理士や特許技術者の募集をしていますか?
A:はい、募集を行っております(*2024年3月25日時点)

もし人生やり直せたら・・・どうする?

Q:最後に、お聞きしますが、もし人生やり直せたとしたら、企業で働きますか?それとも特許事務所で働きますか?
A:わたしの場合は、特許事務所です。特許事務所で働いてきて、よかったと思います。理由は、わたしはマイペースな性格なので、ひとりで仕事を最初から最後までマイペースで完結するほうが合っていた、と思うからです。
Q:有難うございました。

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